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生活習慣病
高血圧
以前は成人病と言っていた高血圧などの慢性病は、生活習慣病と言われるようになりました。生活習慣を変えれば治る病気というわけです。しかし、どこの病院に行っても、降圧剤を出すので、血圧は下がりますが、高血圧を治している病院はほとんどありません。「先生、血圧の薬を飲みだすと一生飲まなければいけないんでしょう。私飲みたくありません」と言う患者さんもいます。それも一理あって、今の医療の弱点を鋭く突いているわけです。強いストレスにさらされた生活(長時間労働、長時間通勤、職場の上下関係、疲労、不眠など)や動脈硬化をきたす食事などが高血圧につながります。
現代社会においてストレスを回避することは、なかなかできることではありません。コレステロールのうち悪玉と言われるLDL、炭水化物で増える中性脂肪、高血糖などは動脈硬化を引き起こします。食事は、油を使った揚げ物・炒め物を少なくし、肉食から野菜・海藻を多くした食事にしたいものです。
糖尿病
糖尿病は、糖質制限という考えが広まり、患者さんもだいぶ気をつけるようになりました。ただ、会社からの帰宅が遅く、夕食が遅くなってしまう方、夕食のあと飲酒したり、お菓子や果物を食べている方をまだ見受けます。1日のカロリーが同じでも、これではA1cが改善しません。夕食後のお菓子や果物は、ぐっと我慢してください。ちなみに蛋白質+脂質(肉)は、血糖を上げません。
糖尿病治療薬は、いろいろなものが出ています。まず副作用がない限り、昔からあるメトホルミンから始めるのがいいでしょう(財布にも優しい)。
人間の血糖は季節で変化し、活動的な夏は下がりますが、秋に甘い果物(特にぶどうと柿)が出て来て、旅行で美味しいものを食べ、クリスマスで甘いケーキを食べ、暮れと正月でまた食べることによって、1月~2月はA1cが上昇してしまう人がとても多いようです。網膜出血・透析などの合併症が多いのも糖尿病の特徴です。悪くなってからでは遅いので、若い時から気をつけましょう。
高脂血症
高脂血症は、コレステロールのうち悪玉と言われるLDLが高値になる場合と、炭水化物・果物で中性脂肪が高値な場合があります。両方高い場合が最も悪く、動脈硬化を引き起こします。さらに高血糖が加わると最悪です。女性では、LDLが乳製品で高くなっている場合が多いようですので、毎日、牛乳・ヨーグルトをとっている方は注意してください。中性脂肪は、飲酒でもかなり上がります。
中性脂肪が高くなり、血液がどろどろになると急性膵炎という怖い病気になったり、血栓ができて脳梗塞という場合がありますので、くれぐれもご自愛ください。
自律神経失調症(頭痛・不眠・めまい・不安・動悸など)
現代のストレス社会に悩んでいる方は非常に多いものです。「うつは心のかぜ」というキャッチコピーが広がってから、心療内科を受診する敷居が低くなりました。SSRIやSNRIという薬が開発されてから、精神科以外の医師も処方するようになって販売額がうなぎ登りです。日本の精神科治療の大きな問題のひとつは、薬が多すぎるということです。多剤併用は弊害が多いのです。
イギリスなどは、まずカウンセリングがあって、その次に医師の治療があります。しかし、日本ではカウンセリングは保険では行えません。自費になってしまい、気軽に受けられないのです。もっと大きな問題点は、日本の精神医療が、ドイツ医学からアメリカ医学主流へと変わってから、「○○障害」という病名が非常に多くなったことです。
パニック障害・不安障害・適応障害・・・。アメリカではベトナム帰還兵に精神障害が多発し、外来でゆっくり治療している時間がなくなってしまったため、「○○障害」という病名をつけるようになりました。「アメリカがかぜを引けば、日本も引く」と揶揄(やゆ)される日本でも、同じ分類が使われるようになったのです。西洋薬は、上手に使えば効くのでしょうが、とてもやめにくいという欠点があります
漢方は、穏やかに効き、患者さん自身がさじ加減できます。主に女性に、24加味逍遥散、39苓桂朮甘湯、61桃核承気湯、72甘麦大棗湯、105通導散、16半夏厚朴湯、芎帰調血飲、65帰脾湯、137加味帰脾湯、91竹筎温胆湯など、男性だけではありませんが、8大柴胡湯、9小柴胡湯、10柴胡桂枝湯、11柴胡桂枝乾姜湯、12柴胡加竜骨牡蛎湯、15黄連解毒湯、113三黄瀉心湯など、実に多彩です。統合失調症の陽性症状の強い場合などは、中医学の煎じ薬+鍼治療でないと対処できません。当院の守備範囲を超えています。申し訳ありません。
アレルギーの病気(アトピー・蕁麻疹・気管支喘息など)
気管支喘息は、①自律神経と②アレルギー反応の両方の側面からとらえなければなりません。日本では(アメリカ式の現代医学ではと、言ったほうが正しいかもしれません)、アレルギー反応の面からしか考えていないので、不十分なのです。
自律神経には、交感神経と副交感神経があります。この2つは、バランスをとって体を調整しています。日中は交感神経優位、夜は副交感神経系優位になります。この2つが上手に移行しあえばいいのですが、うまくいかない場合、その切り替わりの時間である就寝時から明け方に、喘息発作が起こりやすくなるのです。喘息だけではありません。血液は明け方に凝固しやすくなり、脳梗塞も起こりやすくなります。心筋梗塞は、やや遅く、明け方から午前中に起こりやすくなります。
冠攣縮性狭心症(安静時狭心症)は、夜間から深夜・明け方から午前中というように、自律神経は、人間の健康と大きく関わっています。昔は、喘息の人は、乾布摩擦をしていましたが、今は乾布摩擦を勧めるドクターは、ほとんどいないでしょう。でも大事なことです。皮膚をこすると、気管が拡張して呼吸が楽になります。腹いっぱい食べたり、お風呂に入ると気管は狭くなり、喘息発作が出やすくなります。
「今日は、かぜ気味なので、お風呂に入って早めに寝よう」などと考えないでください。これらもすべて自律神経の調節と関係しています。アレルギー反応ではありません。
アトピー性皮膚炎で、お困りの患者さんは非常に多いようです。特に子どもは、自分で食事を選べないので、自宅と学校での食事が非常に大事になります。まず子どもの場合は、①乳製品(牛乳・ヨーグルト・チーズ・バター)、②卵はやめてみましょう。
大人はいろいろ食べるので、やや複雑ですが、基本的には①と②、さらに③牛肉④パン(特にイーストフード・ショートニング・マーガリンで作ったもの、大方はこれ)が多すぎないかチェックしてください。これらを除くだけでも、ずいぶん違うはずです。慢性蕁麻疹もそうです。
喘息やアトピー・蕁麻疹なども、漢方が非常に役に立つ病気です。しかし、食事がしっかりしないと、良くなったと思ってもまたぶり返してしまいます。
漢方は、肺の薬である、19小青竜湯、麻杏甘石湯、95五虎湯、腎を強くする7八味地黄丸、子どもは、胃腸を強くするために99小建中湯、41補中益気湯などをよく使います。